豊臣秀吉の甥 秀次が城を築き、城下町として栄えた近江八幡。今もなお白壁の土蔵や旧家が立ち並ぶ風景は、県内にしてなんだか遠くに来たような気持ちにさせてくれます。
今回ご紹介するのは、人気の観光スポット・八幡堀に程近い「仁之助コーヒー」さん。犬と一緒に入れるカフェということで、我が家の愛犬 福(トイプードル ♂ 4歳)とおじゃましました。
江戸中期の大きな屋敷をリノベーションしたというこの建物。通りから覗くと目を奪われるのが、広々とした店内とその奥に広がる中庭の緑です。
「町家の奥行きを、通りから全部見てもらえる造りにしたんです」
設計を手がけた社長の江尻さんが一番大変だったと言うのが、間口の半分を占めるほどの「大階段」。向こうが見える“抜き”の階段にするには、途方もなく緻密な調整が必要だったそうですが、その開放感は絶大! 店内を心地よい風がスーっと通り抜けていきます。用意されている座布団を敷いて、ここでコーヒーをいただくこともできるのだそう。
1Fはカウンター席の他に、6人掛けのテーブル席、大きなソファー席、1人掛けのチェア席のみ。驚くのはそれぞれがとてもゆったりと配置されていること。吹き抜けの高い天井もまた、広さをより際立たせます。飲食店なのにキッチンがないのは、慌ただしさを感じさせないよう別棟に設けられているため。代わりに存在感を放つのは、彫刻家 佐脇健一氏の作品。まるでギャラリーのようにじっくりアートを楽しめます。
回転を意識して効率よく席数を構える飲食店が増える中、あえて逆行するスタイルを取ったのは「お店の設計や贅沢さも含めて、空間と時間を価値として提供したい」という思いから。建築好きのお客さまが「非の打ち所がない」と感嘆していたというのも大いに頷けます。
メインはなんといってもサイフォン式コーヒー。コポコポとフラスコの中で沸騰したお湯がゆっくりと上り、スルスルと落ちていく様子は見ているだけで癒されます。スタッフさんの優雅な所作の裏には、豆の挽き方や撹拌のタイミングなど美味しく淹れるための秘訣がたくさん。丁寧に教えてくださるので、興味のある方はお話を聞いてみると勉強になりますよ。
良い香りに包まれ、もはや夢見ごこちに…この香りの良さも、高温で淹れるサイフォン式コーヒーならではなのだそう。普通のコーヒーより10度ほど熱いので、火傷にはご注意を。
東京世田谷区の人気コーヒー店「+COLORS」がこの店のために焙煎するスペシャルティコーヒーは、近江八幡の風景をイメージして名付けられた「山(中煎り・深煎り)」「堀(中煎り・深煎り)」「陽」「月」の6種類(968円〜)。
フラスコでやってくるコーヒーは、たっぷり2杯分。2人で違う豆を選んで飲み比べてみるのが「仁之助コーヒー」おすすめの飲み方です。今回は「堀(深煎り)」をお願いしました。キリッとした苦味とコクの深さが印象的。なのに不思議と後味がスッキリ!
少し冷めると表情が変わると聞いて、しばらく置いてみることに。まろやかさが増して優しい味わいになりました。ゆっくり時間をかけていただくのもコーヒーの楽しみ方だったんですね。
お散歩のお供にテイクアウトもOK。コーヒー豆も全種類販売されているので、コーヒー好きはぜひ。ハンドドリップだとまた違ったおいしさが味わえますよ。
「仁之助コーヒー」のさらなる魅力は、犬と一緒に入れるカフェであること。残念ながら滋賀にはまだまだ少ないんです。「テラス席OK」というのもありがたいのですが、暑い日や寒い日は諦めるしかないのが現実。何より、ワンコを迎え入れてくれるお店の姿勢そのものが嬉しい!
実は社長の江尻さんは、3頭の犬に「生活のすべてを捧げている」という大の愛犬家。スタッフの皆さんも温かく接してくださり、超怖がり犬の福もいつもよりリラックスしていました。
中庭はワンコの遊び場、ドッグランとしても利用が可能です。きちんと壁で囲われているので、リードなしで思いきり走り回っても安心。5月とはいえ気温の高い日でしたが、風通しが良いせいか軒下の日陰は涼しくて快適でした。利用中は貸切にしてもらえるので、内気なワンちゃんでものびのび楽しめますよ。
店頭には鹿肉ジャーキーなどのワンコ用おやつも販売されています。系列のレストランでも振る舞われる鹿肉は、伊賀の猟師さんと特別に提携する新鮮さにこだわり抜いたもの。人気の「鹿節」は、慎重派の福も飛びついていました! 通りを歩いていたワンちゃんが、匂いに誘われ店前から動かなくなったこともあったのだとか。
※1Fフロアはリード付きで入店OK、2FはワンコNGです。
ワンコ同伴時のご案内
↑画像 上部:仁之助コーヒー外観・店内/下部:TABLE MOTHER メニュー例・外観
「仁之助コーヒー」を運営するのは、東京に本社を構える「株式会社ピーテンプル」。飲食業や建築設計・店舗プロデュースなど幅広い分野で全国に展開する企業です。近江八幡の同エリアには、2021年に前述の系列店「TABLE MOTHER(フレンチイタリアンレストラン)」をOPEN。こちらは今や人気店に。
「僕にとって滋賀県はダントツのナンバーワンです。人もいいし、町も風景も全部がいい!」。初めて訪れた時に近江八幡の稲田の美しさに魅了され、この町をどんどん輝かせようと思ったという江尻さん。
「滋賀に興味を持ってもらいたいし、もっと魅力を伝えたい」という言葉は、biwacommonの思いとも重なり、嬉しさとともに「我々もしっかりしなくちゃ!」と奮い立たされるものがありました。
株式会社ピーテンプルでは「ゆとりのある町だからこそ、ゆったりと贅沢に過ごせる空間を作っていきたい」と、今も新たな計画を進行中。そんなお店が滋賀にたくさんできると思うと、ワクワクが止まりません。biwacommonでも随時ご紹介していきたいと思いますので、どうぞお楽しみに!
ちなみに「仁之助コーヒー」では、本名「仁之助」さん限定 “コーヒー生涯無料キャンペーン”を実施中。全国の仁之助さん、これを逃す手はありませんよ!(まだいらっしゃったことはないそうです)
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仁之助コーヒー
https://www.instagram.com/jinnosuke_coffee
〒523-0871 滋賀県近江八幡市新町1-29
OPEN:10:00-18:00(火曜・第2水曜 定休)
TABLE MOTHER
https://ptemple.shopselect.net/
株式会社ピーテンプル
https://ptemple.jp/