滋賀・甲賀土山【田村神社】厄除けで名高い征夷大将軍・坂上田村麻呂ゆかりの古社

滋賀・甲賀土山【田村神社】厄除けで名高い坂上田村麻呂ゆかりの古社

2026.3.23信楽・甲賀

【田村神社】とは|滋賀・甲賀土山、鈴鹿峠の麓に鎮座する厄除けの古社

biwacommon編集部のジョーだ。滋賀県甲賀市土山町。鈴鹿峠の麓に、静かに鎮座する古社がある。その名は【田村神社】。

1200年以上の歴史を持ち、創建は平安時代初期(9世紀頃)と伝わる。主祭神は征夷大将軍である坂上田村麻呂。あわせて嵯峨天皇、倭姫命を祀る。坂上田村麻呂が鈴鹿峠で悪鬼を平定したという伝説にちなみ、古くから厄除けの祖神として崇敬されてきた。

国道1号沿いに面した第一鳥居をくぐると、広々とした森の中に参道が現れる。凛とした静けさ。ここでは歩く速度も自然と落ちていく。

※坂上田村麻呂とは
平安初期を代表する武人。桓武・平城・嵯峨の三天皇に仕え、征夷大将軍として歴史に名を刻んだ。のちに軍神として崇敬され、武芸の神として各地の田村神社などに祀られている。

第二の鳥居|銅製鳥居が刻む時間の重み

参道の途中に立つ銅製の第二鳥居は、ひときわ重厚な存在感を放つ。銅は耐久性に優れ、経年による緑青が味わいとなる素材。長い年月を経たその色合いは、単なる構造物を超え、時間そのものを可視化しているかのようだ!ここをくぐると、気持ちが一段と整う。

拝殿|2月の厄除大祭(田村まつり)

第三鳥居を抜けると拝殿が姿を現す。田村神社は「厄よけの神」として知られ、毎年2月17日から19日までの三日間にわたり斎行される厄除大祭(田村まつり)には、多くの参拝者が訪れる。

その起こりは、坂上田村麻呂が鈴鹿峠の悪鬼を平定したという伝承に由来する。のちに凶作と疫病が広がり、弘仁3年の正月、嵯峨天皇が坂上田村麻呂の霊験による厄除祈祷を命じたと伝えられる。三日三晩の祈祷によって災厄が鎮まったとされ、これにより坂上田村麻呂は「厄除の大神」として広く崇敬されるようになった。

約1200年以上続く祈りが、現在もこの地で受け継がれている!

太鼓橋の厄落とし|御手洗川で行う「厄豆落とし」

拝殿の奥、神明石鳥居を抜けて本殿へ向かう途中に架かる太鼓橋。その下を流れる御手洗川で行われるのが「厄豆落とし」。

伝承では、田村大神が夢に現れ「年の数だけ豆を川へ流せば災厄は去る」と告げたという。現在も、太鼓橋の上から自分の年齢の数だけ、半紙などに包んだ福豆を落とし、厄を祓う風習が続いている!

かつては参拝者自身が福豆を持参していたが、現在は社務所にて祓いを受けた「厄落としの福豆」を200円で購入できる。

本殿と矢竹|御鎮座1300年を記念した造替

まず目を引くのは、本殿前に設置された長さ約11メートルの巨大な大神矢(おおしんや)。交差する形で立てられ、その下をくぐる参拝者の厄災を祓う意味を持つ。

現在の本殿は御鎮座1300年を記念し、平成23年に造替されたもの。銅板葺き三間社流造の様式を受け継ぐ、優美な佇まいだ。

本殿前の「矢竹」には由来がある。鈴鹿山の悪鬼を平定した坂上田村麻呂が矢を放ち、「矢の落ちたところに自らを祀れ」と告げたという。のちにその地に本殿が建立された。

そして、矢が落ちた場所には竹が群生したと伝わる。それが境内本殿前に残る「矢竹」であり、物語を静かに伝える存在だ!

※大神矢は例年12月中旬頃から翌年3月中旬頃まで設置されている。

田村川|東海道と広重が描いた風景

境内のすぐ側を流れる田村川。川には「海道橋」が架かっている。

田村神社は旧東海道沿いに鎮座し、かつてこの地は近江国と伊勢国の境にあたる交通の要衝でもあった。現在の海道橋は2005年に再建されたものだが、江戸時代から昭和初期にかけては板橋が架けられていたという。

浮世絵師・歌川広重の代表作のひとつ『東海道五十三次 土山 春の雨』には、田村川の板橋を進む大名行列の姿が描かれている。土山は雨の多い土地として知られ、無数の雨の線と荒ぶる川の表情が、当時の旅の厳しさを物語っている。

歴史とは年号の中ではなく、風景の中に宿っているものだと気づかされる!

辛口みくじ|手厳しすぎる神託

田村神社の辛口みくじは、思わず落ち込むほど手厳しい。遠回しな表現はなく、実に率直だ。だからこそ妙に腑に落ちる。「凶は伸びしろ」という一文は、私の心に深く刻まれた。

結果に一喜一憂するよりも、どう受け止めるかが問われている。前途多難は世の常である。静かに受け止め、次の一歩へとつなげたい!

御朱印|鈴鹿に由来する意匠

御朱印は、飾り気のない力強い筆致が印象的だ。真っ直ぐな筆跡には、実直で潔い美しさがある。なかでも「村」の字の「寸」の部分は竹の節を思わせるかたちで、矢竹で知られる田村神社らしさを感じさせる。

鈴や鹿の意匠は鈴鹿峠に由来するものだろう。どこか可愛らしく、愛嬌もある。

御朱印は参拝の記念であると同時に、この場所の空気を持ち帰る証でもある!

まとめ|厄を祓い、心を整える神社

森に包まれた静穏な境内。数々の鳥居、清らかな川、語り継がれる伝説。田村神社は、厄を祓う神社であると同時に、心を整える場所かもしれない。祈るために訪れてもよい。歴史を感じるために歩いてもよい。参道を戻るころには、わずかに背筋が伸びているはずだ。

滋賀県甲賀を訪れた際は、ぜひ田村神社まで足を運んでほしい!

田村神社
〒528-0211 滋賀県甲賀市土山町北土山469
参拝時間:9:00~17:00
駐車場:あり(約500~1,000台)
http://tamura-jinja.com/