
biwacommon編集部のジョーだ。
【多賀大社】は、古くから「お多賀さん」の名で親しまれる滋賀県第一の大社。中世の神仏習合期には「多賀大明神」として広く信仰を集めてきた。
祭神は、伊勢神宮に祀られる天照大神(あまてらすおおみかみ)の親神である伊邪那岐命(いざなぎのみこと)・伊邪那美命(いざなみのみこと)。“生命の親神”として、「延命長寿・縁結び・厄除け」にご利益がある強力なパワースポットとして知られている。
また、「お多賀杓子(おたがしゃくし)」と呼ばれるしゃもじを授ける風習があり、その名が調理道具の「お玉杓子(オタマジャクシ)」の語源になったとも伝わる。
延命長寿と縁結びのご利益を求め、全国から多くの参拝者が訪れる多賀大社。その見どころと魅力を紹介しよう!

豊臣秀吉が母である大政所の病気平癒を祈願し、成就したお礼に米1万石を寄進したことで造営されたと伝わる石造の太鼓橋。
“太閤橋”の名は、太閤を名乗った豊臣秀吉に由来し、秀吉の信仰の篤さを伝える名所として知られている。
天正16年(1588年)の寄進に由来し、現在の橋は寛永15年(1638年)の大造営で再建されたもの。多賀町指定文化財にも登録されている貴重な石橋だ。
急勾配の橋で、中央が高くなっているのは、神門から拝殿を直接見通せないようにするためだ。視線を遮ることで、参拝者により神聖な雰囲気を感じさせる造りになっている。現在は通行不可であるが、古例大祭では御神輿がこの橋を渡る伝統が今も受け継がれている。

神門を抜けると、広々とした境内に出る。歴史ある本殿が佇み、生命力あふれる巨樹や御神木と相まって、静かで趣のある景観が広がる。
私が訪れた4月上旬には枝垂れ桜が見頃を迎え、豊かな枝ぶりに淡いピンク色の花が可憐に咲いていた。
年間約170万人が訪れる、滋賀県内最大級の神社であり、まさに滋賀を代表する大社のひとつである。

本殿は江戸時代の寛永年間(1633年〜)の大造営で築かれた後、安永2年(1773年)の火災を経て、文化5年(1808年)に再建された。
入口の鳥居から太閤橋、神門、境内の石畳、拝殿、そして本殿へと一直線に続く導線には、導かれるような緊張感が漂う。
主祭神である伊邪那岐命・伊邪那美命は、『古事記』によれば日本の国土と八百万の神々を生み出した“生命の親神”。この男女二柱の大神は、はじめて夫婦の道を開き、日本の国土と万物の神々、さらにその主宰神である天照大神を生んだとされている。
このため古来より延命長寿・縁結びの神として信仰され、鎌倉〜江戸時代にかけて武家や庶民にも広く浸透した。
現在では全国に239社の分祀社を持つ。

万灯祭は、毎年8月3日から5日の3日間、多賀大社で行われる祭り。祭神・伊邪那美命が黄泉(よみ)の国の守護神とされることから、祖先の霊の守護を祈る行事だ。
昭和30年より続く祭りで、ご先祖の御霊と子孫の平安を願って、境内には約1万灯の提灯が灯される!
滋賀の夏の風物詩としても広く知られている祭りだ。

元正天皇の病気平癒に由来する「お多賀杓子」。
当時の神主が「しでの木」で作った杓子で強飯(こわめし)を献上したところ、天皇が快癒したと伝わる。さらに、杓子を製作した際に出た残りの枝を地に挿したところ、後に「飯盛木(いもろぎ)」と呼ばれる大木へと成長したと伝えられている。
「お多賀杓子」は現在も病気平癒・健康祈願の象徴として、多くの参拝者に授与されている。
※強飯とは、もち米を蒸して作った、硬めのご飯の総称

東大寺再建を命じられた僧・重源(ちょうげん)が祈願し、20年の寿命を授かったとされる「寿命石」。
延命長寿や病気平癒を願い、今も多くの参拝者が訪れる。周囲には健康長寿を願う白い「願い石」が敷き詰められている。白石に願い事を書いて祈願し、寿命石の周辺や所定の場所に納めることができる。
数多くの願い石が奉納されており、その信仰の篤さを感じさせる。
※願い石は500円で奉納可能

境内では、国歌の「君が代」に登場するさざれ石を見ることができる。
小石が長い年月をかけて一つの岩となる姿は、繁栄と長寿の象徴。平和と永続を願う、日本的信仰を体現する存在だ。

境内末社「金咲稲荷神社」は、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)を祀る金運の神社。
「お金が咲く」という名の通り、商売繁盛や財運向上を願う参拝者が絶えない。「お多賀さんの孫神様」とも呼ばれる。
2021年に朱塗りへ改修され、連なる鮮やかな鳥居が印象的。静かな森の中に力強い気が漂うスポットだ。

今回拝受した絵御朱印は、金色の紙に本殿を切り抜いた特別な切り絵仕様で、まるでアート作品のような佇まい。とりわけ、切り絵ながら優美な曲線を描く檜皮葺(ひわだぶき)の屋根は、荘厳な雰囲気を見事に表現している!
中央には延命長寿を意味する「莚寿(えんじゅ)」の文字が入り、切り抜き部分を本殿に重ねることで、御朱印と実景が一体となる仕掛けも魅力だ。
写真下は平成30年に拝受した通常御朱印。装飾を抑えた素朴なデザインで、“生命の親神”を祀る神社らしい本質的な美しさを感じさせる。

多賀大社は、伊勢神宮の祭神・天照大神の両親を祀る“生命の親神”の社として知られるが、その魅力はそれだけではない!
豊臣秀吉をはじめとする戦国武将からも篤い崇敬を受けてきた歴史ある神社であり、元正天皇の病気平癒に由来するお多賀杓子をはじめ、寿命石やさざれ石など、延命長寿と縁結びにまつわる信仰が数多く残る。
その格式の高さから、「お伊勢参らばお多賀へ参れ」と語り継がれてきた。両社をあわせて参拝することで、より大きなご利益が得られると言われるほどだ。
また、境内の参集殿には食事処「そば舎(寿命そば)」があり、無添加出汁にこだわったにしんそばや月見そばが人気。旬の筍ごはんや、多賀産の卵を使った卵かけごはんも魅力的である。参拝後は名物「糸切餅」も見逃せない!
滋賀の神社巡りにおいて、多賀大社は間違いなく外せない一社。訪れる価値のある聖地だ。
多賀大社
住所:滋賀県犬上郡多賀町多賀604
TEL:0749-48-1101
受付時間:8:30〜16:30
公式サイト:https://www.tagataisya.or.jp/