
biwacommon編集部のジョーだ。滋賀といえば、焼き物の名産地として知られる信楽。今回はオリジナルの陶器を作りに【奥田忠左衛門窯 信楽陶芸村】へ行ってきた。その体験の様子をレポートしよう!
村内には約3,000体ものたぬきの置物が並び、不思議な世界に迷い込んだような気分になる。施設の全体像については、編集部のひーちゃんが詳しく記事にしてくれているので、こちらもぜひ一読してほしい。
陶芸の魅力再発見!たぬきが見守る癒しスポット【奥⽥忠左衛⾨窯 信楽陶芸村】
今回の記事では、「陶芸体験」にフォーカスしてお届け!

旅行の帰りに少し時間ができたため、どこかに立ち寄ろうという話に。ちょうど信楽の近くだったこともあり、義理の姉が「陶器を作りたい!」と言い出した。そこで私が電話で空き状況を確認し、親族13名で訪れることに(予約は電話のみ対応)。大人数だったが、快く受け入れていただいた。
陶芸教室は趣のある空間で、ものづくりの現場の雰囲気が感じられる。私たちが体験したのは「手ひねり」(1,760円)で、粘土を手でこね、ろくろを使って自由に形をつくる内容だ。初心者や子どもでも楽しめるので安心して参加できる。
家族連れ、友人同士、カップル、外国人観光客など、さまざまな方が訪れていた。数ある陶芸教室の中でも奥田忠左衛門窯 信楽陶芸村は人気スポットの1つのようだ!

今回は、コップ・お皿・お茶碗など、それぞれ好きな器を作ることに。子どもたちは「怪獣を作る!」と意気込んでいたが、まずは基本の器からチャレンジだ!スタッフの方が丁寧にレクチャーしてくれる。
レッスン1:粘土をこねて形作り
粘土をよくこねて丸め、ろくろにのせたら、上から叩いて平らにする。次に、ろくろを回しながら串で円を描いて底面を整える。この円を描く工程は意外と難しく、スピードや力加減、大きさのイメージなど、細かな気配りが求められる。この時点でサイズが決まるので、丁寧に作ろう。後から大きさは変えられないので要注意!
レッスン2:粘土で高さを出す
丸めた粘土をテーブルで転がして伸ばし、親指程度の太さのひも状にする。これを円形の底にぐるりと巻き付けて高さを出していく。余分な部分はカットし、つなぎ目には水をつけて指でなじませる。水をつけすぎると粘土が崩れるので、ほどよい加減が大事!
レッスン3:形と厚みを整える
ある程度高さが出たら、ろくろを回しながら指で厚みや形を整えていく。粘土は外に広がりやすいので、内側に寄せるように意識する。素人の手びねりなので、厚みや表面の仕上がりにムラがでるのは仕方ない。「これが手作りの味だ!」と思って作陶を進めよう!
また、焼成時には全体的に少々縮むので、少し大きめに作っておくと安心。家族の一人は「この取っ手では指が入らないですよ!」とスタッフにアドバイスをもらっていた。

レッスン4:葛藤と完成への道
途中で「やり直したい」「模様が気に入らない」「いらんことをしてしまった」と葛藤が生まれることもある。完成形をイメージせずに作り始めると、終わりが見えなくなる。これはものづくりあるあるだ。だからこそ、最初に完成イメージを思い描くことが大切だ!
レッスン5:形の完成
どうにか全員が粘土で形を作り終えた。すべての所要時間は40分〜60分ほど。焼成前に職人が微調整や釉薬の仕上げをしてくれるとのこと。色は、信楽焼を代表するやさしい緋色が魅力の「スカーレットカラー」になる。仕上がりはお任せになるので、どんな風になるのかお楽しみだ!
完成までには約1ヶ月〜1ヶ月半かかる。9月には完成した器をご紹介できる予定。子どもたちもワクワクしている!
それにしても、5歳から70歳まで、誰もが真剣な表情で黙々と手を動かしていたのが印象的だった。日常では味わえない、豊かな時間を過ごすことができたように思う。

実は私はこれまでに2度の作陶経験がある。
1回目は気合を入れすぎて、前衛的で実用性ゼロの器を作ってしまい、結局お別れに。2回目はハンドメイド感を演出するために、縁をちぎったり歪ませたりした結果、使い勝手にも収納にも不向きでまたもお別れ。これらの過ちは誰もが通る道だと思っている。
今回はその経験を活かし、「余計なことはしない」をテーマに制作。実用性を重視し、シンプルで多用途に使える器を目指した。お茶、汁物、ご飯など、これひとつでまかなえる仕様だ。こういうのでいいんだよ。また、コップをよく倒してしまう私に合わせて、重めに作り、安定感を持たせている。
さて、どんな仕上がりになるか。何であれ、楽しみだ!

自分の手で何かをつくる時間は、とても贅沢で豊かだ。普段は気づかない自分の性格や癖にハッとさせられたり、知らなかった一面に出会えたりする。冷たくてやわらかな粘土の感触には、自然のエレメントに触れる心地よさがある。また、自分で作ってみることで、市販の完成品がいかに精巧で美しいかにも気づける。学びの多い陶芸体験となった。
信楽は全国的にも知られる焼き物の町だ。ぜひ、奥田忠左衛門窯 信楽陶芸村で「自分だけの器作り」を体験してみてほしい!
【奥田忠左衛門窯 信楽陶芸村】
滋賀県甲賀市信楽町長野1131
https://tougeimura.jp/

信楽焼特有の緋色(ひいろ)をベースに、翡翠(ひすい)色の淡い緑色の釉薬が重なり、可愛らしい仕上がりになっている!釉薬が溜まって濃い緑になっている部分がお気に入りだ。全員分が同じような仕上がりなので、お揃いの器が並ぶと嬉しいような、少し照れくさいような気分になる。
焼き物は「焼きを入れると縮む」と聞いていたが、想像以上に小さくなった印象だ。目安としては、乾燥段階で約10%、本焼き(本焼成)でさらに約5%、合計で約15%縮むと言われている。縮むことで、思い描いていた用途と少し変わってしまうこともあるので、サイズ設計はしっかり計算しておくことが大切だと改めて実感した。これから体験する方は「想定よりも小さく仕上がる」という点をぜひ覚えておいてほしい!
届いた器を手にした子どもたちも、自分で作った作品に満足そうな表情を見せている。私自身も、滋賀の名産である信楽焼を自分の手で作れたことに大満足だ。これから長く愛用していきたいと思う!
「今なら、もっと上手く作れる気がする!」そう思わせてくれる体験だった。ぜひ皆さんも挑戦してみてほしい。