
biwacommon編集部ひーちゃんです。
それは2年ほど前のこと。50歳を過ぎた夫が(私の知らないうちに)大学生になっていました。
何を学ぶのか? 費用はかかるのか?
こちらとしては寝耳に水の状態だったので大変戸惑いました。さすがに会社までは辞めていない様子ですが、週末になると「今日は講義だから」と楽しそうに出かけていきます。なにそれ怪しい〜。
少しだけ邪な勘繰りをしましたが、彼が入学していたのは超健全な【大津まちなか大学】というところ。「大津の良さを発信する人材を育成」する目的で開設された市民大学です。ほとんど費用もかからないようなので、いったん静観することにしました。
その後も定期的に「今日は大学へ行く」と出かけていく夫。数ヶ月ほど経った頃からか、ちまきやらパンフレットやら手拭いやらの、お祭り関連グッズが家のあちこちで散見されはじめました。
ついには渋いフォントで大きく「大津祭」と書かれたハッピが登場。さすがに気になったので、大学の活動について詳しく聞いてみることにしました。
【大津まちなか大学】は、2つの学部からなりたっているとのこと。
「大津祭学部」=大津祭を学び体験し先人の知恵を後世に継承する人材を育成(主催:NPO法人大津祭曳山連盟、大津市)
「歴まちガイド育成学部」=大津百町の歴史・文化を学び大津を訪れた人にその魅力を伝える人材を育成(主催:大津百町エリア部会、大津市)
なるほど、夫は前者に通っていたわけですね。
「大津祭学部」では座学やフィールドワークで約半年間学んだのち、卒業検定試験を経て卒業するという運び。希望すれば卒業後も祭の支援組織「長柄衆(ながえしゅう)」に所属し、継続した活動ができるそうです。
期間限定の学びで終わるのではなく、生涯を通じて携われるサークル的な団体に所属できるのが魅力的だと感じました。
「大津祭学部」では毎年春に受講生募集がはじまり、全9〜10回の講座が実施されているそう。例えば以下のような内容です。
・各曳山町に出向き囃子の稽古を体験
・曳山が組み上がっていく山建ての工程を見学
・祭当日に観客へのガイド役を実践
どれをとっても、特別で贅沢。普通に観客として祭当日に参加するだけでは得難い体験ができそうで羨ましいと思いました。
卒業後1年経った現在も、夫はここで得た学びやネットワークを活かしてOB団体「長柄衆」で活動しています。曳山の町内で育ったわけでも、現在そこに暮らしているわけでもない。それでいて、400年の歴史を持つ“湖国三大祭“のひとつ大津祭に、つくり手の一端として参加できていることをありがたがっています。
まちなか大学の同級生は自分より年配の方が多いこともあり、「行動を褒められて嬉しかった!」「尊敬できるふるまいの方に出会った!」と新入社員の頃を思い出して新鮮な気持ちになることもあるそう。普段の会社勤めとはまた違って、さまざまな背景の幅広い世代の方と交流できるのが面白いようです。
さて、私のまわりはちょうど子育てがひと段落着いた世代。これからは自分のための時間を有意義に過ごしたいといった話がよく出てきます。と同時に、やりたいことが見つけられないといったお悩みもよく聞きます。探せば意外なところに、興味の種は落ちているもの。そのたくさんあるなかの一つとして【大津まちなか大学】もおすすめできるのではないかな?と思いました。
令和7年の大津まちなか大学「大津祭学部」の活動は、5月24日(土)〜11月8日(土)の約半年間。定員30名で、応募締め切りは5月11日(日)です。
NPO法人大津祭曳山連盟 http://www.otsu-matsuri.jp/home/
大津まちなか大学 instagram https://www.instagram.com/otsu_matsuri/
※「歴まちガイド育成学部」については現在開講未定