
biwacommon編集部ひーちゃんです。地元の大好きな一軒を紹介します。
JR瀬田駅南口(バスロータリーがある方)を出てすぐのところにある小さなうどん屋さん【純手打うどん虹や】。2017年のオープン以来、滋賀県内はもとより他県から通うファンも多い人気店です。
私事になりますが、かつて香川県でうどん屋を何軒もハシゴする旅、所謂「讃岐うどん巡礼」なるものにハマっていました。ビニールハウスを改装した店、客が自分でネギを切る店、神社の境内で神主さんが営む店、山奥すぎて地図に出てこない店…現地で食べる讃岐うどんはどれも格別な美味しさでした。
ですが、8年前に虹やさんがオープンして以来ぱったり足が遠のきました。こちらでいただける麺やら出汁やらトッピングやらの満足度が高すぎて「もう香川まで行かんでええやん」となってしまったからです。

今回取材に訪れたのは「すだちひやかけ」1,000円(税込)の販売が始まってすぐの6月半ば。毎年必ず食べると決めている大好きなメニューなので迷わず注文しました。
もはや、うどんが全く見えないほどに乗っけられた徳島県産すだちスライス。このビジュアルだけで、汗ばむ季節でも体感気温がグッと下がります。
まずはキリッと冷えたつゆを一口。優しい出汁の風味に混ざる、柑橘の香りと酸味が心地いい。こんなに美味しい「ひやかけ」他にある? あぁ、このまま一気に飲み干してしまいそう。
かけつゆが“しょっぱく(塩辛く)ない“こと。虹やさんを推す理由の一つです。出汁はカツオ・サバ・ウルメなど、国産無添加素材にこだわった完全自家製。しっかり素材の風味が際立っているので、つゆの塩気が強くなくても美味しいのです。

さて、麺です。虹やさんで提供されているのは、店主が完全手作業で仕込んだ「手練り・手打ち・手切り」の自家製麺。今どき機械を一切使わないのは、うどん業界ではかなり珍しいことのようです。注文後に一杯ずつ用意されるので少し待ちますが、それもワクワクと待ち遠しい時間。
国産小麦を使ったツヤっと美しい麺は、程よくコシがあって、つるつるとした食感です。柔らかすぎずゴワゴワでもなく、とにかく喉越しがいい。ブツブツ切れたり無駄に歯応えがあったりせず、最後の一本までベストな状態を保ったまま美味しくいただけます。言葉足らずですが「ピンポイントでちょうどいい」食べ応え。

1個からオーダーできる「近江鶏天」は別皿提供なのが嬉しい人気トッピング。揚げたてサクサクの衣を楽しんでから、好きなタイミングでつゆに浸して食べられるので2度美味しい!
むね肉なのにパサつきはなく、柔らかくてジューシー。1個が大きそうなので遠慮がちに注文してしまいますが、あっさり食べやすいので「もう一個頼んでおけばよかった」と高確率で思うハズです。1個300円(税込)。

営業終了30分前の14:30。その日の麺が売り切れた頃合いで、店主・中井隼平さんにお話を伺いました。
——すべて手作業ということで。製麺にかかる時間が半端ないですよね?
中井さん 季節にもよりますが今で18時間から20時間。冬場は寝かせ(熟成)に時間がかかるので36時間くらいかかることもあります。
——しんどいな、機械に任せようかな、と思うことはないですか?
中井さん ないですね(キッパリ!)。
大阪に「銭形さん」というおうどんやさんがあって、そこの大将が「健康のために」って言いながら80歳超えてからもずっと手打ちでされてます。
便利に機械に頼らないことで、逆に背筋がシャンとされている。「麺を打ち続けることで健康を維持する」という姿勢に感銘を受けて。私もそうなりたいと思っています。
それに、素材に手で触れることで確実に心が籠るものだと信じているので。我が子を触るように育てて送り出すという気持ちで作業しています。
——1日に何食分ほど用意されているんですか?
中井さん 100食分ですね。忙しくなりそうな日は120食までは用意することもありますが、それがまぁ体力的な限界です 笑(←ちなみに機械だと1回で300食ほど作れるそうです)
(関連リンク)手打ちうどんができるまで
↑虹やさんのYouTubeチャンネルで製麺の様子がガッツリ見られます

——柔らかめの関西風でもない、ガッツリ讃岐うどんでもない。この店だけの麺の食感は、独立されたときに試行錯誤されたんですか?
中井さん 試行錯誤はずっと、今もしています 笑
毎日の出来上がりを見ながら、明日のことを考えながら。理想に近づくようにと感覚的なものをすぐに反映できるのも、手作業のいいところです。常に現状に満足せず、終わりがない。でもそれが楽しいので。
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修行を積んだ大阪をはじめ、これまで様々な場所でうどんを作ってきた中井さん。その土地の水によって、同じ粉を使っていても麺の仕上がりに違いが出るそうです。滋賀の水で打ったうどんは「しなやかでノビのある麺ができやすい」のだそうです。

——麺打ちだけでも大変なのに、出汁とりや牛すじ煮込みなどの一品にも手間暇かけていらっしゃる
中井さん 今は効率を考えたら便利なものがたくさんありますが、あえて逆行しています。同業仲間にも「まだそんなことやってんの?」って笑われながら。でも、こんな時代だからこそ「本物」を忘れずに、誰かが残していかなあかん。歳がいってもこのままでね。もはや、楽しみながらやっています 笑
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取材中、何度も「楽しみながら」「楽しんで」とおっしゃっていた中井さん。ポジティブに人生を楽しむ姿勢が印象的でした。

ちなみに開店直後から次々とやってくるお客さんの半数は顔馴染みの常連さん。みなさん「毎日食べても飽きがこない」といった様子で、中井さんと軽く会話を楽しんで、サッと食べて、軽やかに店を後にされていました。
確かに基本のうどんメニューが豊富なうえ旬の素材を使った限定商品も登場するので「今日は何食べよう?」と何度でも通いたくなります。お店は基本的に平日の営業で、土日祝は不定期オープン。ぜひタイミングを見つけて訪れてみてほしいです。
余談ですが、店内にはプロバスケットボールチーム「滋賀レイクス」のユニフォームやグッズがずらっと飾られています。コアなファンなのかな?と尋ねてみたところ——
中井さん 選手に無償で食事を振る舞っています。親元を離れて暮らす若い選手も多く、ハードな練習後に自炊は大変なだろうという思いから「ここで腹いっぱい食べて」と。今で4シーズン目です。
「ローカルでできることをやりたい」という想いと実行力、素敵です!
【純手打うどん虹や】
大津市大萱1丁目18-2 瀬田大昭ビル1F(JR瀬田駅南口徒歩1分)
営業時間 月〜金曜 11:00〜15:00 ※麺がなくなり次第終了
土日祝は不定営業(HP・SNS等で告知)
Instagram @nijiya_udon