紅葉名所!湖東三山【金剛輪寺】を巡る秋旅。血染めのもみじと国宝の本堂、御朱印も紹介

紅葉名所!湖東三山【金剛輪寺】を巡る秋旅。血染めのもみじと国宝の本堂、御朱印も紹介

2025.10.16彦根・湖東

湖東三山とは? 〜金剛輪寺の魅力を知る〜

biwacommon編集部のジョーだ。今回は、湖東三山のひとつである【金剛輪寺】の参拝レポートをお届けしよう!

滋賀県湖東地域にある西明寺・金剛輪寺・百済寺の3つの天台宗寺院は「湖東三山」と呼ばれている。その中央に位置するのが、近江西国三十三所第15番札所でもある金剛輪寺。琵琶湖の東側、鈴鹿山脈の西山腹にあり、朝晩の寒暖差と清らかな水に育まれた紅葉の美しさで知られる名刹だ。

特に秋の紅葉は「血染めのもみじ」として全国的に有名。国宝の本堂「大悲閣」、重要文化財の三重塔・二天門、そして開山・行基が自ら彫った本尊・聖観世音菩薩(秘仏)は「生身の観音」とも呼ばれ、見どころが尽きない!

駐車場は普通車約400台を収容できる広さ。参拝は総門からが基本だが、足腰の弱い方は本堂駐車場まで車で行くことも可能だ。その場合は、受付で相談してみよう。

総門(黒門)から始まる歴史の参道

最初にくぐる総門は「黒門」とも呼ばれ、寛政6年(1794年)建立の趣ある門。大きな提灯に書かれた「聖観音」は、本尊・聖観世音菩薩(秘仏)を表している。
※聖観世音菩薩…観音菩薩の根本形。人々の願いを聞き、33の姿に変化して救済するとされている。

拝観料:大人800円/中学生300円/小学生200円

約500mの参道に点在する見どころ

拝観受付から本堂までは約500m。金剛輪寺には多くの見どころがあるが、今回は千体地蔵・本堂・三重塔・名勝庭園を紹介しよう!登り坂が多く、石畳の道や階段が続くため、竹杖を貸してもらえる。

千体地蔵の静寂と祈り

参道を進むと、空気が一変。杉木立に囲まれた道は昼間でも薄暗く、木漏れ日が差し込む幻想的な空間が広がる。石垣には苔がびっしりと生え、古木から新しい命が芽吹く様子に、時の流れを感じる。

道の両脇には千体の地蔵が並び、風に揺れる風車がカタカタと音を立てている。この地蔵たちは、本堂へ続く参道に1000体、参道脇に900体あり、全国から訪れた人々が願いを込めて奉納したもの。静謐な祈りの空間だ。

二天門(重要文化財)

階段を上がると現れるのが、室町時代中期建立の二天門。もとは楼門だったが、江戸時代中頃に現在の一重門に改修された。門の左右には持国天と増長天が祀られている。

大きなわらじは「七難即滅・無病息災」を願う奉納品。現在も地域の人々の手で代々受け継がれている。この門を抜けると、いよいよ国宝・本堂へ!

国宝・本堂「大悲閣」

鎌倉時代末期(1288年)建立。七間四面(21m四方)の入母屋造檜皮葺きで、密教本堂の典型的構造を持つ建築として国宝に指定されている。内部は撮影禁止だが、外陣・内陣・後陣に分かれた荘厳な空間だ。

本尊・聖観世音菩薩(秘仏)は、開山・行基が一刀三礼で彫り進めた際、木肌から血が流れたという伝説が残る仏像。そのため「生身の観音」とも呼ばれている。私の感想は伏せておく。ぜひ実際に、「生身の観音」を自分の目で確かめてほしい。

さらに、紅葉の時期には、この伝説を思わせる「血染めのもみじ」が境内を鮮やかに彩る!

三重塔(重要文化財)

本堂の奥の高台に見える三重塔は「待龍塔」とも呼ばれ、鎌倉時代の建立。長らく荒廃していたが、信者の浄財によって昭和53年に復元された。

金剛輪寺の紅葉は木々が密集しているため、一見小ぶりの葉でも圧倒的な密度を感じさせる。11月中旬から下旬にかけては境内全体が紅葉に包まれ、三重塔が朱色の世界に溶け込むように見える、まさに絵画のような光景だろう!

名勝庭園で味わう静寂

金剛輪寺の庭園は、桃山時代から江戸中期にかけて造られた池泉回遊式庭園で、国の名勝に指定。南庭・東庭・北庭の3つからなり、四季折々に表情を変える。

この日は晴天で、緋毛氈に反射した光で室内までも赤く染まっていた。「赤」が印象的なこの寺にふさわしい、幽玄の美だ。

御朱印紹介 〜聖観音と大黒天〜

金剛輪寺の御朱印は全6種類。今回は2種を拝受した。

聖観音(本尊・聖観世音菩薩)
聖観音とは本尊・聖観世音菩薩(秘仏)のこと。実際にその姿を目にしたからこそ、ひとつはこの聖観音をいただきたいと思った。均整の取れた文字の中にも力強さがあり、誠実で凛とした印象を受ける。「音」の字の横に伸びる線は、まるで風を受けているかのようだ。実際に本堂でも、松峯山から心地よい風が吹いていた。

大黒天
金剛輪寺には、日本最古の大黒天像(秘仏)と、七福神として親しまれる福々しい大黒天像の2体がある。大黒天は伝教大師・最澄が唐から持ち帰ったとされ、古くから五穀豊穣や金運招来の神として厚く信仰されてきた。金色の御朱印も、まさにそのご利益を象徴するようなありがたさだ。

おわりに 〜秋は湖東三山へ〜

湖東三山は千年以上の歴史を誇る滋賀屈指の霊場だ。本記事で紹介したのはほんの一部。実際に訪れて、目で見て、歩き、空気を感じてみてほしい。

秋の金剛輪寺は、紅葉と静寂、祈りが溶け合う特別な場所。ぜひ、今年の紅葉シーズンには湖東三山・金剛輪寺を訪れてみよう!

期間限定で日本最古の大黒天 特別公開!
金剛輪寺の日本最古の大黒天像(重要文化財)は、2025年11月1日(土)〜12月7日(日)の紅葉期に特別公開予定。平安時代初期に造られた貴重な秘仏を本堂内で拝観できる、またとない機会だ!

湖東三山【金剛輪寺】
〒529-1202 滋賀県愛知郡愛荘町松尾寺874
TEL:0749-37-3211/FAX:0749-37-2644
拝観時間:8:30〜16:30
公式サイト:https://kongourinji.jp/