八幡堀さんぽ vol.2「誰もが訪れやすい美術館」【ボーダレス・アートミュージアムNO-MA】

八幡堀さんぽ vol.2「誰もが訪れやすい美術館」【ボーダレス・アートミュージアムNO-MA】

2025.7.30近江八幡・東近江

町屋をリノベーションした美術館【ボーダレス・アートミュージアムNO-MA】

biwacommon編集部のモリモトです。

滋賀県近江八幡の情緒あふれる歴史地区を歩く「八幡堀さんぽ」。vol.1では【Going Nuts!】さんをご紹介しました。
八幡堀さんぽ Vol.1【Going Nuts!】70種から選べる“マイMIXナッツ”体験


vol.2では、昭和初期の町屋「野間邸」をリノベーションし、2004年に「ボーダレス・アートギャラリーNO-MA」として開館。2007年に博物館相当施設の承認を受けた美術館【ボーダレス・アートミュージアムNO-MA】に行ってきました!

【ボーダレス・アートミュージアムNO-MA】は障がいのある人たちによる造形表現や現代アーティストによる制作物などさまざまな表現を分け隔てなく紹介するというコンセプトの美術館です。

「誰もが訪れやすい美術館」を目指して

迎えてくださったのは運営されている社会福祉法人glow(グロー)の赤澤さん。美術館のことはもちろん作品やglowの取り組みについても詳しくお話ししてくださいました。

「障がいのある方の作品だけを展示しているスペースだと思われがちですが、そういったわけではありません」と赤澤さんはお話しされていました。実際には、幅広いジャンルのアーティストの作品を展示されています。
「誰もが訪れやすい美術館」を目指しており、訪れた人に“芸術”とは何か“表現”とは何かを考えてもらえる場でありたいと思いながら活動されているそうです。

パンフレットに工夫が…!

美術館に訪れると、「誰もが訪れやすい美術館」ならではの工夫が至る所で発見できました!
1つはパンフレット。一般的な縦長の美術館パンフレットに加え、「やさしい美術館ガイド」という冊子も設置されています。このガイドは
* 短い文章
* わかりやすい表現
* 見やすい文字の形
* 漢字・カタカナ・アルファベットにふりがな
* 図形や記号・写真による説明
という5つの特徴を持っています。 特に文字は、縦型パンフレットよりも大きく読みやすいため、ストレスなく情報を得ることができます。個人的には、2種類のパンフレットを合わせて読むと、より理解が深まるのでおすすめです!赤澤さんによると、「やさしい美術館ガイド」はとてもが人気で部数の減りがはやいそう。

「色、いろ、イロ」展!

NO-MAではテーマに沿った企画展が年に4〜5回ほど開催されています。今回の企画展は、所蔵作品を展示するコレクション展ということで「色、いろ、イロ」展として開催されています。第1期(5月24日〜7月21日)と第2期(7月26日〜9月28日)で展示されている作品が異なります。

私の 訪れた第1期では、とにかく作品がカラフル! ギラギラするほどインパクトのある色使いがされているものから、優しいパステルのような色味のものまでさまざまです。一方、第2期は単色で表現された作品の展示となり雰囲気がガラッと変わるとのこと!

今回の企画では6名の作家の作品が展示されています。その中の4名はどちらの期間でも作品が展示されるようで、それぞれの期間で異なる表現を楽しめるのも魅力です。

見て!さわって!さまざまな鑑賞方法

パワフルな色使いが印象的なのは岩崎司さんの作品です。 線数も多く、今にも飛び出してきそうな迫力のあるイラストに、筆文字が力強く書かれています。 迫力のある作品の一方で、娘への愛を歌ったような短歌の作品もありました。

目にとまったのは、イラストの後ろに敷き詰められている、チラシをぐるぐるに巻いて筒状にしたあしらい。これはしばらくするとイラストを描いた紙が丸まってしまうのを解決するため、岩崎さんなりに見つけた方法だったようです。

作品の前に展示されている「触図」は、目が見えない方でも作品を楽しめる鑑賞方法の一つです。 岩崎さんの作品では、イラストの線数を全体的に減らし、指でさわれば分かるほど立体的に印刷されています。 目の見えない人でも「動物のいる作品」「人の顔がある作品」と理解できるきっかけになるそう。筒状のチラシの部分まで再現されています。

景色と作品を同時に楽しみながら

三橋精樹さんの作品は、イラストとともにカタカナを多用したユニークな解説が特徴です。 解説内容は、野菜の話や西部映画のシーンなどさまざま。じっくり読み進めると、それぞれのシーンや状況が詳しく説明されており、作品の世界観に深く浸ることができます。 表にイラスト、裏に説明が書かれているものが多く、両面を見るのに適した什器を使って展示されています。

三橋さんの作品がある2階の展示室からは、中庭の景色が同時に楽しめます。町屋ならではの大きな窓から覗く穏やかな風景と作品が一体となり、ゆったりとした時間を過ごしながら作品を楽しめるのも、この美術館の大きな魅力です。

町屋ならではの落ち着く空間

2階には展示のほかにも町屋ならではの落ち着くスペースがありました。 ライブラリーでは休憩したり、資料を見たり多様な過ごし方ができます。近所の人のお話しスペースにもなっているそうで実際に座ってみると妙に居心地が良く、居座りたくなるのも納得です。

ワークショップのスペースには「ピーナッツマンを作ろう!」というイベントで作られたピーナッツマンが至る所に展示されていました。
「色、いろ、イロ」展の第2期開催期間中にも、参加費無料で大人も子どもも楽しめるワークショップ“ものづくランド”が開催されるとのことですのでお楽しみに!

詳細はこちらから https://no-ma.jp/exhibition/iroiro2025

何度でも訪れたくなる美術館

2025年7月26日(土)〜9月28日(日)に開催の第2期の様子も写真でご紹介!
第1期とは異なる魅力が満載!うってかわって落ち着く雰囲気の展示です。

昔ながらの町屋の中でゆったりのと作品を鑑賞できる、何度でも訪れたくなる美術館ぜひお散歩がてら足を運んでみてください!

また、社会福祉法人glow(グロー)では美術館運営の他にも、盲ろう者と学生によるまち歩きの取り組みをされていたりと、地域と連携したイベントを多数開催されています。美術館はもちろん、イベント等にも興味がある方は要チェックです!

【ボーダレス・アートミュージアムNO-MA】
HP https://no-ma.jp/

〒523-0849 滋賀県近江八幡市永原町上16
開館時間 11:00~17:00まで ※企画展によって変更あり
休館日 月曜日(祝日の場合はその翌平日)、展示替え期間、年末年始
観覧料 一般 200~500円 高大生 150~450円 (20名以上の団体は50円引き)

(追記)「アヴァンギャルドですか、なにか」展が開催中!

新しく2025年10月18日(土)から「アヴァンギャルドですか、なにか」展が開催されます。

EXPO2025大阪・関西万博に出展された作品が、69日間の長期にわたり展示される企画展です。25人のアール・ブリュット作家の作品が集結し、とっても見応えのある展示になっています。

また図録、ポストカード、オリジナル T シャツ、展覧会会場でしか手に入らない限定グッズもあるとのこと…!
展示と合わせてぜひチェックしてみてくださいね!

オンラインサイト:https://no-ma.jp/about/about_goods/

「アヴァンギャルドですか、なにか」展
会期:2025年10月18日(土)〜2026年1月12日(月・祝)
開催時間:11:00〜17:00
休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始 12月29日(月)〜1月5日(月)
観覧料:一般700円(650円)高・大生650円(600円)
※中学生以下無料、障害のある方と付添者1名無料
※( )内は20名以上の団体料金