
biwacommon編集部のモリモトです!
長浜に取材に行くことが決まり、黒壁スクエアの周辺のお店をリサーチしていました。その時ふと目に止まったのがあるお店の外観。まるでタイムスリップしたかのような雰囲気に妙に惹きつけられ、訪れてみることにしました。
それが滋賀県長浜市にある『元祖堅ボーロ本舗』。1894年(明治27年)創業の131年続く老舗和菓子店です。このお店の看板商品が店名にもなっている【堅ボーロ】。「ボーロ」と聞くと、卵ボーロのような柔らかいものを想像しますが、こちらのボーロはまったく違います。名前の通り、とーっても堅いのが特徴です。

【堅ボーロ】誕生のきっかけは、間違いから生まれたものでした。もともとはパン屋として営業していたそうですが、誤って膨らまし粉を入れずに焼いてしまったことが始まりだとか。
偶然生まれたこの商品は、日清戦争・日露戦争・太平洋戦争で前線の兵士への慰問袋に入れられ、保存性が高いことから重宝されたそうです。店内には、当時堅ボーロを口にした兵士たちが残した寄せ書きも展示されています。
そして今もなお、130年にわたり受け継がれている伝統の味です。

みなさん気になっていることでしょう…。結局どのくらい堅いのかということを!
その堅さを体感するべく実食!
長浜土産として何人かに配ったのですが、みんな口を揃えて
「堅い!」
…「堅い!!」
そりゃ堅ボーロですから〜と思いながら自分も一口。
「堅っ!」と声が出ました。
最初は小石をかかじっているように固く、そのままでは到底噛めないので、口の中でコロコロ転がしながら食べます。パッケージにも「ゆっくりお召し上がりください」と書いてある通り、せっかちな人は歯が負けてしまうかもしれません。
ただ堅いのは最初だけで、しばらく口に含んでいるとほろほろと柔らく噛み砕けるほどの硬さになります。
こんなにも堅い商品ですが、味はとっても素朴なのが特徴!生姜の繊維や、周りにコーティングされている砂糖など素材の味を生かした穏やかな甘みを感じます。初めて食べたはずなのに、なんだか懐かしい気持ちに。生姜の効果も相まってじんわり心温まる味わいです。

現在はその味と堅さを引き継いで、5代目になるそう。
お店の方に「一度でも柔らかくしようと思ったことはありますか?」と尋ねてみると、
「3代目が一度、柔らかいボーロを作ったこともあったんですが、やっぱり皆さん“堅いほう”を求めて来てくださるんです」と笑って話してくださいました。
堅ボーロ以外にも、中に餡子が入ったものや、豆が練り込まれた五色ボーロなど、比較的やわらかい商品も並んでいます。
それでも一番人気はやはり、昔ながらの「堅ボーロ」なのだそう。
時代が移り変わっても、お客さんが求める味を守り続けること。
それこそが、130年以上もの間愛され続けてきた理由なのだと実感しました。

お店の外には『頑固な人がぽろりと見せる人情のような味わい』と書かれていました。
実際に食べてから改めて読むと、「なるほど…!」と思わず頷いてしまうほど、そのキャッチコピーがぴったりだと感じます。
そんな130年愛され続ける「堅ボーロ」。長浜を訪れた際にはぜひ味わってみてください!
(歯の弱い方はご注意を!)
【元祖堅ボーロ本舗】
〒526-0056滋賀県長浜市朝日町3-16
営業時間:8:00~19:00
定休日:無休
アクセス:JR琵琶湖線「長浜駅」下車 徒歩5分
HP:長浜・観光情報サイト