【MANMA しまなみレモンの焼き菓子店】 オーナーパティシエ・北浦ちひよさん

【MANMA しまなみレモンの焼き菓子店】
オーナーパティシエ・北浦ちひよさん

可愛い人と美味しいタルトを見つけてしまった

こんにちは。biwacommon編集部のひーちゃんです。最近、年甲斐もなく一目惚れをしました。

私が最初に彼女に出会ったのは、とある屋外のフードイベント。会場に流れる音楽のリズムにのって、ニコニコの笑顔で踊るようにドーナツ生地を丸める姿が可愛らしく、思わず心を撃ち抜かれました。【MANMA しまなみレモンの焼き菓子店】のオーナーパティシエ・北浦ちひよさんです。

「こんなに楽しそうに働く人のいるお店のお菓子が食べたい!」その日、行列に並んで買ったタルトの、なんと美味しかったこと。 どっしりとしたボリューム、じわっと染み込んでくる優しい甘さ。

モンブランが大好きで、この秋もいろんなお店のものをいただきました。個人的には、MANMAさんのモンブランが一番でした。大きな渋川栗がゴロっと入っていて、マロンクリームも素材感が残るこっくりほっこり素朴な味わい。そして底のタルト生地が美味しい。この生地が甘すぎて残念なことが多いので、これとても重要なポイント。

チーズケーキは最初“ケーキなのに甘くない”ことにびっくりしたけれど、チーズとレモンの美味しさが舌の上で少しずつ広がって、最後はちゃんと甘いスイーツを食べた満足感。美しい見た目のタルトタタンも、素材として厳選したであろう林檎の美味しさが際立つ、絶妙な甘酸っぱさがたまらない。

北浦さんが作るのは「おしなべて信頼できる」そんな味わいのスイーツばかりでした。

いろんな話が聞いてみたい。クリスマス前の忙しい時期に迷惑なのは百も承知で、少しだけお話をうかがってきました。

はじまりは「しまなみレモン」との出合いから

2013年、最初はたった一人でお店をスタートしたという北浦さん。今の店名にも繋がるMANMAのお菓子作りの軸は、素朴な疑問から生まれました。

ーーー北浦さん:
お菓子にたくさん使うレモンの皮に、農薬がついていたら嫌だなと思って。調べ出したら、みかんと同じ肥料をあげてピンセットで虫を取りながら、無農薬でレモンを作っている農家さんが瀬戸内しまなみにいらっしゃることがわかったんです。

一回使ってみたらとても味が濃くて皮もすごく香りが良くて。でも農家さんがおっしゃるには、日本では外国産のレモンを安価で仕入れるのが主流だから売れないって。美味しいけれど値段が倍もするから。「だったら、このレモンがしまなみのブランドになるよう一緒にお菓子屋さんやります!」と言いました。


まだ「しまなみレモン」「瀬戸内レモン」という呼び方も浸透していなかった頃の話。当初はレモンスイーツの専門店でしたが、今では生ケーキから焼き菓子まで季節の様々な素材を使った幅広い商品を製造しています。

ーーー北浦さん:
今でもレモンを使ったお菓子は人気なんです。それに、実はチーズケーキの隠し味だったり、林檎を加工するのにも、レモンをたくさん使っています。季節関係なく、レモンはいろんなところに入って活躍してくれている。もちろんすべて、しまなみのレモンです。

2024年に「可愛い」が詰まった実店舗をオープン

約10年のあいだ全国各地のイベントに出店しながら徐々にファンを増やしていきました。今ではどこのイベントでもすぐに行列ができる大人気店に。そして2024年1月には、守山市の住宅街に実店舗をオープン。ナチュラルな木材をあしらった建物と植物のグリーンが目を引く、とても可愛らしいお店です。

ショーケースに並ぶ約10種類の季節のタルトをはじめ、焼きたてのアップルパイにマフィン、おしゃれにラッピングされた焼き菓子など、店内には気持ちを込めて作られたことが分かるお菓子がずらり。

お店はお客さんから作業のすべてが見えるオープンキッチンのスタイル。取材時は繁忙期で北浦さん以外にも4人のスタッフさんが慣れた所作でお仕事をされていました。

ーーー北浦さん:
お菓子作りで大切にしているのは、手間を惜しまないことです。今は頼りになるスタッフがいてくれるおかげで、たくさんの作業が丁寧に順調に進みます。


お店はインテリアも本当に素敵。アンティークの家具や絨毯、ライト、食器。ゆったりとした時間が流れています。

ーーー北浦さん:
イベントだと小さいお子さんを連れて並ぶのは大変。こっちのお店なら、ゆっくりとケーキを選んでもらえるようになったかな。


ご自身もお子さんを持つお母さん。店内には絵本や木製のガチャガチャを置くなど、お買い物についてきた子どもたちが飽きないような気配りがされていました。

お菓子が主役のマルシェ「菓子祭 & CHRISTMAS MARKET」

2024年12月14日(土)・15日(日)、守山市のびわこ地球市民の森出会いのゾーンで開催される「菓子祭 & CHRISTMAS MARKET」。おそらく滋賀県では初めての、お菓子のお店が主役となるマルシェです。県内外の人気菓子店を中心に、フードやアクセサリーなど2日間で約70店舗が集結します。そして、この大きなイベントを主催しているのが北浦さんです。

ーーー北浦さん:
10年前に開業した当時は滋賀にイベント、マルシェが全然なくて。それに、まだ屋号もなく一人でやっていたから、まずイベントに入れてもらうのが大変だった。そのときに同業の出店者さんが声をかけて全国各地のイベントに誘ってくれました。今回はお世話になったその方達も来てくれます。

いま、全国でパティスリーの廃業が後を経ちません。製菓材料の高騰や人件費の問題。とくに女性一人で事業を始めた場合は、ハードな作業が続く中で、キツくなって、不安になってやめていく人が多い。それならみんなで集まって、まずはお菓子屋さんの心を元気にできるお祭りがやりたいな、と。もちろん、そこへ来てくれるお客さんにも楽しんで欲しいです。


最近は売り手としてイベントに出店するだけではなく、支える側になってきているという北浦さん。これまで周りに助けてきてもらったお礼を返すように、地域貢献や作家さんの応援をしていきたいそうです。

お店とイベントの詳細はInstagramでチェック

守山のお店は金・土・日のオープンですが、イベントなどでお休みの日もあります。「菓子祭 & CHRISTMAS MARKET」の詳細と合わせて、ぜひお店のInstagramでチェックしてみてくださいね。

【MANMAしまなみレモンの焼き菓子店】Instagram
@manma_lemon

<店舗DATA>
住所:〒524-0014 滋賀県守山市石田町596−11
営業日:金・土・日曜 13:00〜17:00(※イベントなどで変更の場合も多いので要確認)
駐車場:3台